学会からの治療延期を推奨する声明、コロナ禍で不妊治療を継続していいのか?

コロナ禍で不妊治療の延期を推奨する声明がありました。本日はその声明と当時の心境について振り返りたいと思います。

学会の声明「不妊治療の延期推奨」

コロナ禍の2020年4月、日本生殖医学会から不妊治療に対する声明が出されました。

「国内でのCOVID‐19感染の急速な拡大の危険性がなくなるまで、あるいは妊娠時に使用できる治療薬が開発されるまでを目安として、不妊治療の延期を選択肢として推奨とする内容でした。

声明を事実上撤回

しかし実はその翌月、2020年5月に学会は以前の声明を事実上撤回しています。

「4月の声明は、一般市民、特に不妊治療を受けている女性に妊娠を控えていただくことを意図したものではなかった。地域によって異なる感染状況や個別の事情も反映される。最終的にどのような治療が選択されるかは患者さんと主治医の判断に委ねられるべきといった治療の再開を考慮するよう促す内容でした。

翌月に撤回したのは、患者さんや現場のクリニックから戸惑いの声が多かったためではないか、と勝手ながら推察しています。なんにせよ当初の声明だと通院している患者さんは肩身が狭くなりそうな内容でしたから、延期推奨声明が撤回されてよかったと思っています。

不妊治療を続けていいのか?通院への戸惑い

ただ、学会の声明が撤回されたといっても緊急事態宣言がでたり学校が休校になったりしている最中です。不妊治療で通院してよいのか?スーパーですら行きにくいのに…あのとき不妊治療をしていた方はたくさん悩んだと思います。

感染したらおおごとになるし、職場にも迷惑をかける。私は悩んだ結果、通院すること自体を一時控えてしまいました。ただ早ければ早いほど授かる可能性が高くなることから不妊治療は不要不急ではないと考える方もいます。それもその通りです。中途半端なときに通院をストップしてしまった私も全く後悔していないかといったら嘘になりますが、自分が選択したことなので仕方ないです😌

 

 

*通院を継続された方もいますが当時患者さんはやはり減ったようで、私のクリニックでも診察時間を短縮されていました。コロナ禍で日数や時間を短縮したクリニックも少なくなかったようです。

コロナは不妊治療にも影響を与えました。もう今後このようなウィルスがでてこず、そのときに不妊治療をしている方・妊婦さんが不安になることがないように願います。

(参)コロナ禍を振り返っていたときに以下の記事が丁寧にまとめられていましたのでリンクです↓ 最後までお読みいただきありがとうございました。

妊活延期かコロナ禍で決断迫られる夫婦の苦悩 日本生殖医学会の声明に動揺する人たちも | 不妊治療のリアル | 東洋経済オンライン